お金のこと
シングルマザーで生活保護を受ける場合
1.生活保護とは
生活保護とは、シングルマザーに限らず、資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する人に、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。
離婚を考えていて、スキルやキャリアがなく不安を抱えているシングルマザーが選択肢として考える一つではないでしょうか。支給されるには、条件があったり、支給されてもその生活への制限がかかってきます。
まずは、生活保護の制度についてしっかり理解しておきましょう。
2.支給対象者、条件
シングルマザーで生活保護を利用する人は少なくありません。ただ、ご存知のように生活保護を受けるためには条件を満たさなければいけません。
資産がないこと
まず、資産がないことです。10万円以下の貯金であればセーフですが、それ以上の貯金があったり持ち家があったりと資産がある場合には、生活保護を受けることができません。資産があればやはりその資産で生活するように言われるでしょう。
収入が最低生活費よりも低い
収入が最低生活費よりも低いことも条件に入ってきます。生活保護は収入があるとそれだけでNGと思われがちなのですが、実際には収入があってもその収入では暮らせないことがわかっていればOKです。最低生活費は子どもの人数や住んでいる場所によって違ってきます。
働く意思の有無
生活保護を受けるには、働く意思の有無も見られることになります。当たり前のことですが、心身ともに健康なのに働きたくないから生活保護を……というのは絶対に認められませんよね。心身ともに健康ならば働いてくださいという話になります。働けない理由があるならそれをきちんと伝えなければいけませんし、生活保護を受けながらも働く意思があるならそれも伝えなければいけません。
支援してくれる人の有無
支援してくれる人がいないということもみられます。生活保護の申請をする際に、親兄弟へ連絡がいくということはご存知でしょうか。これは支援をしてくれる人がいないのかを調べるためなのですが、この調査で支援をしてくれる人が出てくると当然、生活保護を受けることはできなくなってしまいます。支援をしてくれる人がいないというのは、生活保護を受ける上での大前提とも言えるでしょう。
生活保護以外の手当の利用
あとは、手当を利用しても生活ができないということです。特に、シングルマザーの場合、さまざまな手当を利用することができます。中には知らずに利用していない手当もあるかもしれませんし、そういった手当を利用して最低生活費以上になってしまうと生活保護は受けられません。手当を利用しても足りないというのもひとつの条件になってくるのです。
3.支給金額
生活保護を受けたとして支給される金額はどれくらいになるのでしょうか?これはケースバイケースなので具体的な金額は言えないのですが、基本的には最低生活費から仕事の収入や手当を差し引いたものが支給金額になると考えていいでしょう。
具体的な金額は、自治体によって違うので、お住いの地域を管轄する福祉事務所で聞く必要がありますが、国で生活扶助基準額の例を提示していますので、参考にしてください。
東京都区部等 | 地方群部等 | |
---|---|---|
母子世帯(30歳、4歳、2歳) | 188,140円 | 158,170円 |
3人世帯(33歳、29歳、4歳) | 158,380円 | 129,910円 |
※児童養育加算等を含む。
4.生活保護の内容
生活保護の内容なのですが、実は扶助の種類が細かくわかれています。
- 日常生活に必要な生活扶助
- 家賃などの住宅扶助
- 義務教育のための教育扶助
- 医療を受けるための医療扶助
- 介護サービスを利用するための介護扶助
- 出産のための出産扶助
- 就労のために必要な生業扶助
- 葬祭のための葬祭扶助
基本的にはこれらが生活保護の内容です。
5.生活保護を受けるメリット、デメリット
生活保護を受けられるとしても、メリットばかりではありません。生活保護のメリットとデメリットを見ていきましょう。
生活保護のメリットとして挙げられるのは生活していくためのお金を受け取ることができるという部分です。特に、シングルマザーの場合には子どものためにもどうにか生活していかなければいけません。
ただ、努力してもどうにもならないときもあります。そういったときに、救ってくれるのが生活保護なのです。また、生活保護を受けると一部の支払いや税金も免除となりますので、そういった部分もメリットになってくるでしょう。
生活保護を受けるメリット一覧
- 生活費が受け取れる
- 公共料金の支払いや税金が免除される
一方で、生活保護のデメリットとしては生活においてさまざまな制限を受けることが挙げられます。貯金もできませんし、毎月の収入も申告しなければいけません。
生活保護を受けるデメリット一覧
- 貯金をしてはいけない(保険の積み立ても×)
- 高額なものの購入は制限される(車や一部家電等)
- 毎月の収入の申請が必要
- 借り入れができない
- 家賃の上限が決まっている
- 受診する病院が決まっている
- 借り入れができない
これらのデメリットには、例外も含まれます。自治体によっては車の所有が認められることもありますが、それを除いてもかなり生活が制限されるのは確かです。
また、生活保護に対して良くない印象を持っている人も少なくありません。収入が増えれば増えるほど、税金は高くなってきます。納税者にとっては、税金の使い道にシビアになってしまう現実も否めません。
生活保護を受けていることが公表されないとしても、身内にはバレてしまいます。人によってはその風当たりを受ける可能性もあります。
もちろん、この制度が必要な人もいますので、メリットデメリットを理解した上で利用しましょう。
6.生活保護の貯蓄が認められたケース
基本的には、生活保護の貯蓄は認められていません。ですが、生活保護の貯蓄が認められたケースがあります。
生活保護を受けている家庭が、子供の高校進学のために積み立てた学資保険の満期金が収入とみなされ、生活保護費を減額されたことがありました。この減額が違法として、その家庭の娘さんが大きくなり、訴訟を起こしています。
訴訟の結果、「高校進学のため費用を蓄えることは、生活保護法の趣旨に反しない」と判断を示し、原告が勝訴しています。つまり、高校進学のための貯蓄が認められたことになります。
特例なことですが、生活保護の貯蓄が認めたれたケースになります。
7.まとめ
生活保護という制度は、やはり必要な人がいるので存在する制度です。必要であれば、利用すべき制度でしょう。
しかし、子供のことを考えると、貯蓄できないということは、ネックになってくるのは確かです。生活保護を受けるにしても、できるだけ自立するために利用する気持ちでいた方が良いでしょう。