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シングルマザーが受けられる手当と助成金

  シングルマザーが受けられる手当と助成金

1.児童手当

児童手当

児童手当というのは、シングルマザーに限らず、すべての家庭を対象としているものです。児童手当の目的は、子どもがいる家庭の安定と子どもの健やかな成長を支えることです。

支給対象者

児童手当は国から支給される手当なのですが、支給対象となるのは国内に住所のある0歳から15歳までの子どもです。

支給額

0歳から3歳未満 3歳から12歳 中学生
第一子 15,000円 10,000円 10,000円
第二子
第三子以降 15,000円
所得額が622万円以上※所得制限参照 一律5,000円

支給期間

支給時期は年に3回で、毎年2月から5月分を6月に、6月から9月分を10月に、10月から1月分を2月にという形になります。だいたい支払われる月の12日あたりに指定した口座に振り込まれると言われていますが、市区町村によって多少のズレはあるかと思います。

所得制限

ただ、注意しておきたいのが児童手当における所得制限です。というのも、経済的に余裕のある家庭であれば児童手当というのは必要ありませんよね。本当に必要なところに児童手当を支給するという意味でも所得制限があるのです。

所得制限表

扶養親族等の数 所得額 収入
0人 622万 833.3万
1人 660万 875.6万
2人 698万 917.8万
3人 736万 960万
4人 774万 1002.1万
5人 812万 1042.1万

もし所得額が制限を超えている場合には、子どもの人数や年齢に関係なく子ども1人あたり月額5,000円の支給となります。

2.児童扶養手当

児童扶養手当

児童扶養手当は、まさにシングルマザーを含めたひとり親家庭のためのものです。ひとり親家庭の生活の安定と児童福祉の向上のために支給される手当になります。

国が支給をおこなっているもので、ひとり親家庭になってしまった理由が問われることはありません。つまり、自分の意志でシングルマザーになったという人でもOKということですね。

支給対象者

支給対象となるのは、シングルマザーを含めたひとり親家庭の0歳から18歳になってから最初の3月31日までの間の子どもになります。

支給額

全額支給 一部支給
子供1人 42,490円 42,490〜10,030円10円単位で変動
子供2人目 + 10,040円 + 10,030〜5,020円10円単位で変動
子供3人目以降 + 6,020円 + 6,010〜3,010円10円単位で変動

児童扶養手当の額は、物価の変動などによって毎年額が改定されることになります。

支給期間

支給時期は年に3回で、4月から7月分を8月に、8月から11月分を12月に、12月から3月分を4月にという形になります。だいたい支払われる月の11日あたりに指定した口座に振り込まれることになるのですが、市区町村によって多少のズレは出てくるかと思います。

所得制限

児童扶養手当にも所得制限があります。扶養親族などの人数に応じて、本人全額支給所得額、本人一部支給所得額、その他の養育者や配偶者・扶養義務者所得額が決められています。

基本的には本人全額支給所得額を超えていなければ全額支給となり、本人全額支給所得額を超えていても本人一部支給所得額を超えていなければ一部支給となります。その他の養育者や配偶者・扶養義務者所得額を超えていると児童扶養手当は支給されません。

所得制限表

扶養人数 受給資格者本人 扶養義務者・配偶者・
孤児等の養育者
全部支給 一部支給
0人 49万円 192万円 236万円
1人 87万円 230万円 274万円
2人 125万円 268万円 312万円
3人 163万円 306万円 350万円

3.ひとり親家庭の住宅手当

ひとり親家庭の住宅手当

母子家庭の住宅手当というのは、シングルマザーを含めたひとり親家庭のための制度です。

児童手当や児童扶養手当のように国の制度ではなく、あくまでも市区町村独自の制度になります。そのため、やっているところとやっていないところがあります。住んでいる市区町村でやっているのかどうかを確認するところから始めていきましょう。

市区町村独自の制度ということもあって、条件なども市区町村で違ってきます。ただ、支給対象となる条件に関してはだいたいどこも同じような条件を掲げており、シングルマザーを含めたひとり親家庭で20歳未満の子どもを養育している、民間のアパートなどに住んでおりその市区町村に住民票がある、生活保護を受けていないといったものが挙げられます。

平均支給額

支給される金額なのですが、これも市区町村によって違ってきます。ただ、平均は5,000円から10,000円と言われています。

各地域の支給例

東京都 国立市 家賃の3分の1の額(上限月額1万円)
神奈川県 厚木市 1,300〜10,000円
茨城県 石岡市 家賃月額から勤務先の住宅手当を引いた額(上限月額2万円)

地域差はあり、また所得制限、扶養人数によっても変わってきます。茨城県石岡市のように、上限2万円は珍しく、母子家庭に手厚い地域だと伺えます。

また、住宅手当という形ではなく、公営住宅の斡旋を行っている地域も数多くあります。

どれくらいの家賃を支払っているのかによってもありがたみは違ってくるかもしれませんが、家賃というのは毎月確実に支払わなければいけないものなのでシングルマザーにとっては助かるものです。住んでいる市区町村でこの制度が利用できるのかを確認し、利用できるようであれば是非活用していきたいものです。

4.ひとり親家庭等医療費助成制度

ひとり親家庭等医療費助成制度

ひとり親家庭の医療費助成制度というのは、保護者や子供が病院などで診察を受けた際の健康保険自己負担分を市区町村が助成するという制度です。

市区町村が助成してくれるということで、助成内容もそれぞれの市区町村によって異なってきます。

支給対象者

支給対象となるのは、シングルマザーを含めたひとり親家庭で、0歳から18歳になって最初の3月31日までの間の子どもとその保護者です。

助成範囲

国民健康保険や健康保険など各種医療保険の自己負担分から一部負担金を差し引いた額を助成します。ただし、入院時食事療養・生活療養標準負担額は助成しません(区市町村によって助成している場合もあります)。

各地域の支給例

支給額は、自己負担分の医療費の9割程度に設定している自治体が多いよいです。上限設定をしている自治体もあります。

東京都 新宿区 1割自己負担
東京都 江戸川区 1割自己負担
大阪府 大阪市 医療費から、1医療機関ごとに1日あたり最大500円を除いた額を助成
福岡県 福岡市 医療費から、通院 800円/月 入院 500円/日を除いた額を助成

所得制限

ほとんどの自治体で、所得制限を設けています。自分の住んでいる地域のひとり親家庭等医療費助成制度を確認しましょう。

5.こども医療費助成

こども医療費助成

先ではひとり親家庭等医療費助成制度についてご紹介しましたが、所得制限で利用することができないという人も多いかもしれません。そういった場合でも、こども医療費助成が利用できる可能性があります。

支給対象者

このこども医療費助成というのはあくまでも子どもの医療費に限ります。親の医療費助成はありませんので、その点はきちんと理解しておきましょう。

各地域の支給例

東京都 目黒区 医療費の自己負担分全額
東京都 港区 医療費の自己負担分全額
愛知県 医療費の自己負担分全額
北海道 札幌市 保険診療の自己負担分全額(0〜小学校1年生) 入院医療費のうちの保険診療の自己負担分(小学2年生〜中学生)

こども医療費助成は、所得制限をしていない自治体が多いので、対象者である可能性が高いです。条件があったり、金額の上限を設けていたりするので、住んでいる自治体のこども医療費助成を確認しましょう。

6.障害児福祉手当

障害児福祉手当

障害児福祉手当というのは、障害によって発生してくる精神的な負担や物質的な負担を軽減するために国が支給している手当になります。

支給対象者

支給の対象となるのは、身体的な障害や精神的な障害のため日常生活を自力で送ることができず、常に介護を必要とする20歳未満の子どもです。

支給額

支給される金額は、月額一律14,650円になります。

支給期間

支給されるのは毎年2月、5月、8月、11月で、それぞれの前月分までをという形になります。だいたい支払われる月の11日あたりに指定した口座に振り込まれるのですが、このあたりは市区町村によって多少ズレが出てくる可能性もありますので、注意しておきましょう。

所得制限

障害児福祉手当には所得制限があります。

扶養親族等の数 本人 配偶者及び扶養義務者
収入額 所得額 収入額 所得額
0人 5,180,000円 3,604,000円 8,319,000円 6,287,000円
1人 5,656,000円 3,984,000円 8,596,000円 6,536,000円
2人 6,132,000円 4,364,000円 8,832,000円 6,749,000円
3人 6,604,000円 4,744,000円 9,069,000円 6,962,000円
4人 7,027,000円 5,124,000円 9,306,000円 7,175,000円
5人 7,449,000円 5,504,000円 9,542,000円 7,388,000円

7.遺族年金

遺族年金

シングルマザーの場合、やはり自分が死んでしまったときや家計を支えてくれていた人が死んでしまったときのことを考えてしまうものです。子どものためにどうにかやりくりして貯金をしているという人も多いかと思いますが、子どものために残すお金というのはいくらあっても足りないものです。

そこで役立ってくれるのが遺族年金です。いくつか種類があるので、子どものためにも遺族年金についてしっかりと理解しておきましょう。

遺族基礎年金

対象者

亡くなられた方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。この場合の「子」というのは、18歳に到達後3月31日を経過していない子、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子を指しています。

支給額

まずは、遺族基礎年金についてです。779,300円に第1子や第2子は1人当たり224,300円をプラスし、第3子以降は1人につき74,800円がプラスされることになります。

遺族厚生年金

対象者

死亡した者によって生計を維持されていた妻や子、孫となります。子や孫というのは、18歳になってから3月31日を迎えていない子どもまたは20歳未満で障害年金の障害等級1級・2級の子どもを指します。ちなみに、子どもは遺族基礎年金も併せて受けることができます。

支給額

遺族厚生年金の計算はかなり複雑なのですが、基本的には本人が受け取る予定だった厚生年金のだいたい4分の3が支給されるものと考えていいでしょう。詳細は日本年金機構のホームページで確認しましょう。

寡婦年金

対象者

免除期間を含めて第1号被保険者として保険料を納めた期間が10年以上ある夫が亡くなった際に、10年以上継続して婚姻関係にあった場合、生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳になるまでの間支給されるというものです。

支給額

年金額は、夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3となります。

ただ、亡くなった夫が障害基礎年金の受給権者であった場合や老齢基礎年金を受けたことがある場合、妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合には支給されませんので、注意しておきましょうね。

死亡一時金

対象者

第1号被保険者として保険料を納めた月数(4分の3納付月数は4分の3月,半額納付月数は2分の1月,4分の1納付月数は4分の1月として計算)が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなった時、その方によって生計を同じくしていた遺族(1・配偶者、2・子、3・父母、4・孫、5・祖父母、6・兄弟姉妹の中で優先順位の高い方)に支給されます。

支給額

死亡一時金の金額は保険料を納めた月数に応じて120,000〜320,000円と変わってきます。もし付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合には、8,500円がプラスされることになります。

遺族が遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されませんし、寡婦年金を受ける場合にはどちらか一方を選択しなければいけませんので注意しておきましょう。ちなみに、死亡一時金を受ける権利の時効は、死亡日の翌日から2年となっています。この点も忘れないようにしておきましょう。

8.児童育成手当

児童育成手当

児童育成手当には育成手当と障害手当があるのですが、シングルマザーにとって関係があるのは育成手当のほうです。

児童育成手当というのは国による制度ではなく、市区町村による制度です。そのため、市区町村で需給にあたっての制限なども異なってきます。まずは、お住まいの市区町村に聞いてみましょう。

東京都北区の場合

この児童育成手当というのは東京を中心に実施されている制度なのですが、例として東京都の北区での児童育成手当について見ていきましょう。

対象者

北区で児童育成手当の対象となるのは、北区内に住んでいて、18歳になってから3月31日を迎えるまでの子どもを養育しており、離婚や死亡などで父または母がいない場合、父または母に重度の障害がある場合、父または母が配偶者からのDVで「裁判所からの保護命令」が出された子どもを養育している場合です。

ちなみに、法律上婚姻関係になくても異性と同居している人や異性からの定期的な訪問がある人、異性からの生活費の補助を受けている人は除きます。

支給額

支給手当は月額13,500円です。

支給期間

基本的には申請のあった翌月から年に3回、2月、6月、10月と振り込まれることになります。

所得制限

児童育成手当には所得制限があります。扶養人数によって所得の限度額は異なってくるのですが、扶養人数が0人の場合には3,684,000円、扶養人数が1人の場合には4,064,000円、扶養人数が2人の場合には4,444,000円、扶養人数が3人の場合には4,824,000円、扶養人数が4人の場合には5,204,000円を超えると児童育成手当は支給されません。以降は扶養人数が1人増えるごとに380,000円をプラスした金額が所得の限度額になってきます。

9.まとめ

同じシングルマザーでも状況によって期待できる手当や助成金というのも違ってきますし、お子さんの人数や年齢によっても異なってきます。

ただ、やはりシングルマザーということであれば、経済的に苦しいところのほうが多いかと思います。そうなると、手当や助成金が役に立ってきますが、はまずはそういうものがあるということを知っておかないと申請すらできません。

利用できる手当や助成金を知って、積極的に活用していきましょう。